2025年7月30日、ドナルド・トランプ大統領が少額貨物に対する免税を停止する大統領令に署名しました。これを理由として、各国の郵便会社がアメリカへの貨物発送を停止する事態に発展しています。
Postal services around the world suspend deliveries to US: how will it affect you? | Trump tariffs | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2025/aug/26/postal-services-suspend-us-usa-deliveries-how-will-it-affect-you
トランプ大統領が停止したのは、800ドル(約11万8000円)以下の少額貨物への関税を免除していた「デ・ミニミス制度」です。この制度がなくなることにより、2025年8月29日以降、これまで免税の対象だった少額貨物に対して関連するすべての関税が課せられることになります。ただし、外国人からアメリカ人への正当な贈り物として送られる品物の場合、100ドル(約1万5000円)までは免税の対象となります。
デ・ミニミス制度があることで個人間の貨物のやりとりにおけるコストが低く抑えられていましたが、デ・ミニミス制度を乱用して違法な薬物をアメリカへ送ったり、あるいは企業が少額の貨物を小分けにして大量に輸出したりするなどの問題が起きており、アメリカに多大な損失をもたらしていたとされています。
デ・ミニミス制度の停止を受け、各国の郵便会社が貨物発送を一時的に取りやめています。
日本郵便は、デ・ミニミス制度の停止に伴い米国税関・国境警備局が公開したガイドラインが不明確であり、運用が極めて困難な状況にあるとして、アメリカ宛て郵便物の一部の引き受けを2025年8月27日(水)から一時停止しています。書状、はがき、印刷物、EMS(書類)のほか、個人間の贈答品で内容品価格が100ドル以下のものを包有する郵便物(小形包装物、小包及び EMS(物品))については継続して引き受けるとのことです。
米国関税および規制変更に伴う米国宛て郵便物の一時引受停止について – 0825_01_01.pdf
(PDFファイル)https://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2025/00_honsha/0825_01_01.pdf
スイスポストは、アメリカ宛の貨物の引き受けを書類郵便および速達郵便以外すべて停止し、100ドル以下の貨物を取り扱えるよう調整していると発表しています。
ノルウェーとスウェーデンおよびデンマークは、現地時間の2025年8月23日から、アメリカおよびプエルトリコへの手紙以外の貨物発送を一時停止。
イタリア、インド、オーストラリア、ドイツなどでも、同様に一部貨物の発送が停止されています。
なお、カナダ郵便公社は、8月29日以降も輸送を継続し、関税支払いの仕組みを準備すると通知しているとのことです。
電子機器製品を販売するOlimexは現行の関税について「問題は、輸入業者が製品に含まれる鋼鉄、銅、アルミニウム等の正確な量を申告しなければならないということです。例えばプリント基板(PCB)には銅配線が含まれますが、その量を推定することはほぼ不可能です。情報を提出しない場合、PCB全体が銅やアルミニウムで構成されているとみなされ、製品全体に100%の関税が課されます。不必要に複雑化しています」と指摘しました。
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