ニューヨークの街中に存在する文字を検索可能にするとどうなるのか? – GIGAZINE


メモ


標識や看板、落書きなど街中にはさまざまな文字が溢れていますが、これらを検索可能にすると、一体何が明らかになるのかをビジュアルエッセイサイト・The Puddingのジャーナリスト兼エンジニアであるマット・ダニエルズ氏が実験しています。

NYC’s Urban Textscape
https://pudding.cool/2025/07/street-view/

ダニエルズ氏が実験で使用したのは、ニューヨークの街中に存在するお店の看板や落書き、広告などの「文字」を検索できる検索エンジン「all text in nyc」です。「all text in nyc」はメディアアーティストYufeng Zhao氏の作品で、同氏はGoogleストリートビューで「2007年から2024年まで18年間分のニューヨークの何百万枚ものパノラマ画像」を収集し、これを光学文字認識(OCR)を使ってテキストに変換したそうです。なお、all text in nycの構築に利用されたGoogleストリートビューの画像数は800万枚以上で、識別されたテキストのスニペットは1億3800万件にも上ります。ただし、all text in nycで検索できるのはあくまで「Googleストリートビュー撮影車で撮影できる範囲に存在する文字」のみであるため、Googleストリートビュー撮影車が撮影できない路地裏や公園などにある文字や、Googleストリートビュー撮影車が撮影した画像では判読できないほど小さい文字は含まれません。

「all text in nyc」は公開されており、以下から利用可能です。

all text in nyc
https://www.alltext.nyc/


ダニエルズ氏はall text in nycのデータを用い、ニューヨークの街中には一体どんな文字がどれだけ存在するのかを調査しました。

以下はニューヨークの街中に存在する「ピザ(pizza)」(11万1290件)という単語を検索し、地図上にオレンジ色の点で示したもの。ニューヨークの街中はピザだらけであることがよくわかります。


ニューヨークの街中にある「ブロードウェイ(broadway)」(6万2424件)という単語をマップ上に示した画像が以下。そのほとんどが道路標識で、ニューヨークに存在する複数のブロードウェイ周辺に集中していることがわかります。


「ラグジュアリー(luxury)」(1万6731件)という単語をマップ上に示した画像が以下。新しく建てられた住宅ビルはすべて「ラグジュアリー」を謳っているとのこと。なお、街全体が「ラグジュアリー」を称しているのはハドソン・ヤードだけだそうです。


「注意(beware)」(1万419件)という単語をマップ上に示した画像が以下。なぜニューヨークの街中に大量の「注意」という単語が存在するのか、そしてなぜマンハッタンには「注意」という単語がほとんどないのかについて、ダニエルズ氏は「『注意』の表記は芝生やフェンスがある住宅地に集中しているため」と記しています。


「金(gold)」(5万1353件)という単語をマップ上に示した画像が以下。マンハッタンのダイヤモンド地区や、金の買取を行う宝石店や質屋が並ぶ通りがオレンジ色に輝いています。


スペイン語の「教会(iglesia)」(1万6967件)という単語をマップ上に示した画像が以下。スペイン語圏のコミュニティがどこに存在しているのかがよくわかります。


ジャマイカ発祥の調理法である「ジャーク(jerk)」(4900件)という単語をマップ上に示した画像が以下。ブルックリンのフラットブッシュやクイーンズのジャマイカ地区にあるジャマイカ人居住地に集中していることがわかります。


ニューヨークの街で頻繁にみられる単語のひとつが「fuhgeddaboudit(forget about it:気にしないで)」です。


他にも、「ボール遊び禁止(No Ball Playing)」という看板もニューヨークでは多数発見できます。


道路上の落書きで多いのが「ACAB」。


なお、all text in nycで調べた「ニューヨークの街中に最も多く存在する単語」は「停止(stop)」(113万6962件)で、次点が「一方通行(One way)」(82万8362件)と、交通関連の単語でした。また、頻出単語トップ30のうち21個が交通関連の単語だったそうです。

all text in nycで492番目に多く出現した単語が「監視(surveillance)」です。ニューヨーク市警察や企業、公園の事務局ですら監視カメラで録画していることを明示しているため、ダニエルズ氏は「監視に関する警告は、ニューヨーク市民に日常的に降り注ぐ視覚的ノイズの一部であり、ほとんど当たり前のように感じられます」と指摘しています。

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