ファミレス調理スタッフでの主な仕事内容
業務内容は大きく分けて、「調理」、「調理器具・設備・食器の洗浄及び清掃」、「食材の在庫管理」の3つになります。
まず調理に関してですが、不特定多数の人が同じ商品を作る場合、同じ品質を再現することが重要です。そのため、マニュアルに従って調理することが必要です。また、お客様のテーブルに料理を提供する時間が決められているため、各料理の出数を推測し、必要な食材の下ごしらえや在庫が不足しそうな食材の補充などの前準備、定位置、調理手順や調理機器の使用方法などを考慮し、料理を完成させる必要があります。
次に調理器具・設備・食器の洗浄及び清掃についてですが、安全・衛生の観点から、食器だけでなく調理機器を毎日決められた時間に洗浄・清掃し、その他定期的に冷蔵庫や換気扇などの設備の清掃も必要に応じて行います。
最後に食材の在庫管理についてですが、どの食品にも賞味期限があり、開封したものに関しては会社が定めた使用期限が設けられています。そのため、在庫切れのないように慎重な発注、納品、加工を行う必要があります。これらの業務をすべて並行して行う場合もありますので、調理技術だけでなく、ある程度のスピードが求められるお仕事と言えます。
ファミレス調理スタッフならではのやりがい
個人的には、一緒に働くスタッフと営業を上手く回せるかがやりがいの一つでした。ピーク時には、お客様の回転数を上げることが売り上げに直結するため、迅速な対応とスピーディーな料理提供が求められます。基本的には、各自が固定されたポジションで営業に従事します。こういった場面では、一つのテーブルに関する全てのオーダーを、細かく決められた優先順位を守りながら、遅延や時間差なく揃える必要があります。そのため、全員が連携して作業を行う必要があります。
調理においては、豊富なメニューを覚えたり、見栄え良く盛り付けたりすることはもちろんですが、連携プレーも多くの人がやりがいを感じる要素の一つです。また、汚れた機器をピカピカに清掃することや、山積みの食器を効率的に片付けることなど、やりがいを見出す方法はさまざまです。これらがお仕事へのモチベーションにつながり、やりがいへと変化することで新たなモチベーションを生み出すきっかけとなります。この業種は覚えることが多い分、出会うやりがいの数も多く、魅力の一つでもありますし、最大の特徴でもあります。
ファミレス調理スタッフのマイナスポイント
ファミレスを含むサービス業には、客数や売上に応じた人件費が定められています。そのため、客数が増えない場合、スタッフの勤務時間を短縮する必要があります。スタッフがやる気を出して働いているのに勤務時間が減らされると、収入が安定しなくなり、モチベーションが下がってしまいます。このようなことから、大きなマイナスポイントと言えます。
また、ファミレスの強みは豊富なメニューにあります。新人スタッフは最初のうちは多くの仕事を覚えなければなりません。通常営業時間内に新人研修も行わなければならず、実践的な研修になりがちです。そのため、新人スタッフの定着率が減少し、慢性的な人員不足に陥ることがあります。この業界にとって、これは痛い問題の一つです。
慢性的な人員不足による最も大きな問題は、個人の休日が取りづらくなることです。土日祝日はもちろん、平日の休日も取りづらくなります。この問題に関しては、周辺の店舗と協力して改善することができるため、改善の余地があります。
ファミレス調理スタッフの仕事に活かせる経験・スキル・資格
未経験者歓迎の場合、資格は特に重要視されませんが、持っていると役に立つことがあります。ただし、調理師の資格だけであっても、ファミレスの調理などはマニュアル化されているため、活かせるかどうかは微妙なところです。そのため、外食産業で実践を積んでいるかどうかが、円滑に仕事に取り組むためのカギとなると言えます。
ファミレス調理スタッフの仕事に向いている人・向かない人
この業種に関しては、向いている人は暗記力とそれを遂行できる力がある人です。調理をする技術はもちろん必要ですが、メニューが膨大であるため、暗記が必要な業務でもあります。また、それを活用するための知識と行動を瞬時に行うためのスピードが必要です。メニューと関連する業務内容を理解し、自分の中で消化し、瞬時に仕事を組み立て、時間内に業務を完了することが求められます。つまり、先読みして物事を同時進行することが苦手な人や、細部まで丁寧に仕上げるタイプの人には、あまり向いていないかもしれません。また、重いものを扱うことが多く、夏場などはエアコンがあるとはいえ結構な暑さがあるため、体力に自信がない人にはお勧めできません。
ファミレス調理スタッフ仕事でのキャリアパス
最初は、調理や後片付け、清掃作業から始まりますが、これらの業務を一通りこなせるようになるには、食材の在庫管理などの次のステップに進む前に、食材や備品の使用方法や定位置をある程度把握しておく必要があります。スムーズに進めば、半年から1年でこれらの業務を一通りこなせるようになります。ただし、できない人は調理の時点で成長が止まってしまうこともあります。
これらの業務をこなせるようになると、リーダーなどの役職が与えられ、試験などを経て正社員、店長、エリアマネージャー、本部長などに昇進していく流れになります。ただし、基本的に一店舗に正社員が何人も常駐しているわけではないため、正社員になった場合は、配属された店舗のマネジメントを一人で行わなければなりません。加えて、パートスタッフとの人間関係も並行して構築しなければならず、会社からは利益を追求されますので、自分の中でうまく折り合いをつけていく必要があります。これらをうまくこなすことができると、良い成績も自ずと出てくるでしょう。しかし、その折り合いの部分で挫折してしまう人も多いのが実情です。
ファミレス調理スタッフ業界の最近の動向
外食において、お客様が求めるものの中で、私が最初に思い浮かべるのは味です。しかし、ファミリーレストランのアルバイトやパートが作る味は、老舗のベテラン調理師が作り出すような品質に達することは限られています。それでは、競合店と差別化するためには何をすればよいのでしょうか。答えは、サービスと料理の品質、そしてサービスがお客様のもとに迅速に届くことです。
最近の外食産業では、ターゲット層の幅を定め、季節や流行に合わせたキャンペーンを頻繁に実施し、それに合わせた限定料理を提供する取り組みが行われています。季節限定のデザートメニューやヒットアニメとのコラボなどが代表的です。
しかしながら、これらの戦略を継続することで、客数や売り上げを増やすことはできますが、一回限りの来店で終わる可能性があることは十分にあります。そのため、新規顧客を獲得するためには、店内でのサービスや料理の品質、スピードが重要になってきます。すべてのお客様に同じ品質で同じスピードで提供するためには、店舗で働くスタッフのレベルを向上させる必要があります。そのため、レジや調理設備の自動化や、店舗のスタッフオペレーションを簡素化するなど、店舗を一定のレベルに引き上げる取り組みが同時に行われています。
この時代には、多様化する個人ニーズに対応することが求められます。また、ペーパーレスやキャッシュレス決済など、時代の変化や流行に敏感に対応し、適応力を持って展開していくことが、業界においてより求められるようになると思われます。
ファミレス調理スタッフ仕事を未経験で目指すには?
まず確実に言えることは、未経験だからと受け身の姿勢になるのではなく、どんどん自分から質問していく姿勢であることです。嫌な顔をする人もいるかもしれませんが、気にする必要はありません。積極的に動くことで、そういった人への対処の仕方も並行して習得できるようになると思います。大切なのは、やる気を前面に押し出すことです。これらはどのような職種にも当てはまることですが、分からないことをぼかしていると、後からしっぺ返しを食らう可能性も大いにあり得ます。私も未経験から始めましたが、とにかく聞いて、先輩を観察して、見よう見まねで構いませんので、自分も真似してみました。これが一番効果的です。これから挑戦しようとしている方には、ぜひこういった姿勢で臨んでいただければと思います。