魚屋の店員での主な仕事内容
スーパーテナントのバイトとして魚屋で働きましたが、数ヶ月で店を任されることになりました。初日から刺身を切らされたのはショッキングでしたが、魚屋では市場に行って仕入れから始まります。仕入れは魚屋の大将が行うため、私は関与しませんでした。
仕入れのトラックがお店に到着すると、私たちは荷下ろしをして店内のバックヤードに運びます。その日に店に並べる魚をパック詰めし、値付けのシールを貼り、陳列します。
魚をパック詰めするだけでなく、オープンケースに氷を敷いて、おいしそうに見せるためにいろんな魚を並べたり、生きた魚や貝類を水槽に入れて新鮮さをアピールしたりして販売します。値付けは匹単位や100g単位など、複数の方法があります。また、売り子と呼ばれるバイトもおり、「はいはい、魚が安いよ安いよ~。」「お母さん、今日は鯖のいいのがあるよ。煮付けとかだったら満点だね」などと販売アピールします。
魚屋ではパック詰めされた魚が多いですが、一部の魚は調理されます。頭や腹を取る調理や、2枚おろしや3枚おろしにする調理ができれば十分だと思います。私も全くの素人で入りましたが、すぐに慣れましたし、見た目鮮やかにおろせるようになれたので、心配はいりません。アジやサバ、季節的にサワラやサンマをおろしたりすることが多かったです。
日本の魚屋では、やはり刺身を造ることが重要だと思います。私の勤めたお店では、ここに力を入れていました。季節的には、土用の丑の日が魚屋にとって一番の稼ぎ時です。「魚屋の日」と言ってもいいでしょう。ウナギの蒲焼きを売りまくります。冷凍物を焼き直して販売するところもありますが、生のウナギから白焼きをして、タレをつけたりしながら炭火で焼いて販売したりもします。匂いに釣られて寄ってくるお母さんたちを売り子がおいしそうに販売します。
魚屋の店員ならではのやりがい
私が今でも役に立っている技術は、刺身を切ることです。
初日から刺身を切らされたので、順番はわかりませんが、「魚をおろす」→「刺身を造る」という流れになるのかもしれません。私は荷下ろし、パック、魚をおろし、刺身、陳列など、全てを一から同時進行で行っていました。私でもできたので、大体の方はできると思います。
刺身は、マグロやカンパチなどの大型魚、豆アジなどの小型魚を、魚の形におろして刺身を切る手前までの準備をするものです。市場には、それら一部が加工済みの三枚おろし状態で売られているものや、切る一歩手前の短冊になっているマグロなどもあります。
技術料が発生するため、1匹100円程度の新鮮なアジを、丁寧に下ごしらえして活造りにすることで、500円の価値が生まれるものです。私が勤めた魚屋では、刺身を売るために「刺身屋」と呼ばれることもありました。綺麗に造った刺身をお客さんが嬉しそうに買って行かれるのを見ると、私も嬉しくなりました。
魚屋での経験から、ヒラメを5枚おろすことができたり、キハダマグロまでおろせて刺身にできるようになりました。
魚屋の店員のマイナスポイント
注意点として、冬でもお湯を使わないことが挙げられます。サンマやサバなどは発泡スチロールの氷水の中に入れられ、ほとんどの魚が氷水の中か氷の上に載せられます。そのため、手が冷たくなりますが、魚屋としては慣れるべき環境であるとされています。魚の脂は手荒れを引き起こしにくく、水に触れる仕事であるにもかかわらず、お湯を使用する場合よりも手荒れが発生しにくいとされています。
魚のにおいが手についたり、場合によっては着ている服につくことがありますが、「いい匂いがするように」と香水などをするのは魚屋としてはタブーだと思われます。
また、生きた魚が仕入れられることがありますが、シメなければならないことがあります。生きた貝を貝むきで開くことは容易ですが、生きたヒラメをシメることはなかなか難しく、いつも大将にお願いしていました。
魚屋に勤める場合、特に必要な資格はありません。しかし、魚屋を開業する場合は、「魚介類販売業許可」が必要になる場合があります。また、売れ残った魚などを調理して販売する場合もあるため、食品に関する営業の許可が必要になることがあります。
魚屋の店員の仕事に向いている人・向かない人
魚屋で働くのには、「魚をおろせるようになりたい」「刺身を切れるようになりたい」という意欲があれば、誰でも向いていると思います。このような意欲がある場合、上達はより早くなるでしょう。
丸ごとの魚をおろし、腹骨を取り、中骨を取り除き、皮をむく…といった作業は多岐に渡りますが、場合によっては複数人で分業することもありますし、一人で全ての作業を行う必要がある場合もあります。スーパーの魚屋には職人は必要ありませんが、技術者は必要だと思います。このような意欲のある方が向いていると思います。
一方で、「臭い~」「気持ち悪い~」「触れない~」といった魚に対する嫌悪感を抱く方は向いていないと思います。魚屋は、毎日同じものを扱っているように見えますが、季節や行事によって種類や品物が変わります。そのため、「もうこんな季節だね」とほっこりしながら仕事ができる、良い場所だと感じています。
魚屋の店員仕事でのキャリアパス
・バイトや売り子→下積み→キャリア形成→中堅→ベテラン→大将というような流れの魚屋があります。
・スーパーなのであれば、まずはその企業に就職して配属先が決まると思います。
魚屋は、売り子の販売能力、「おいしそう」「キレイ」「食べたい」と思わせるような技術職の腕、清潔な店内など、いくつもの要素が必要だと思われます。その他にも企業や店舗によって力を入れているところがあるでしょう。その道を究めるほどに腕は上がり、周囲から認められ、お店を任されるほどのポジションになっていけると思います。
「若いからまだまだ」とか「もっと下積み頑張れ」というような同僚はいるかもしれませんが、売り子としての能力で「売り上げを上げる」とか、三枚おろしがとてもキレイだとか、塩鮭をどれも同じグラム数で切れるとか、買いたくなるような陳列ができるとか、おいしそうに刺身が切れる等々・・・、腕があれば働いている期間などは関係ありません。大将が認めれば兄弟子より上に行けるのが魚屋だと思います。
魚屋の店員業界の最近の動向
最近は「tha魚屋!」という看板を見かけることが少なくなりました。大抵は大型スーパーの一部分、またはスーパーのテナントになっているようです。私が子供の頃は出刃包丁や刺身包丁など、いろいろな包丁を使っていましたが、最近聞いた話によると、「パートのおばちゃんたちが包丁を使わず、カッターを使っている」ということです。実際には見たことはありませんが、カッターは毎日交換されているそうです。魚を捌くには、カッターでも問題ないと思いますが、やはり刺身は柳包丁でなければ切れないと思います。今は「見せる」「魅せる」の時代なので、スーパーで働く魚屋さんたちは、刺身を切ったりする姿を見せながら、顧客と接客することが多いようです。
スーパーの魚売り場には、男性の主任さんがいて、あとはパートのおばちゃんが多いと思います。おばちゃんの仕事ぶりに悪いというわけではありませんが、若い女性が魚屋で働いているのを見ると、「お、頑張ってるな~」と感心してしまうのは私だけでしょうか?
昔は魚屋の中では暖房を使わないのが主流でしたが、今は暖房も使っているそうです。元々冷蔵庫のような場所ですし、人が入っている冷蔵庫や冷凍庫もあるので、真夏には外から帰ってきた人にとってはかなり涼しい場所だと思います。
魚屋の店員仕事を未経験で目指すには?
未経験でもできることはたくさんあります。皆さん、始めはいつも初心者です。
魚をトレーに並べたり、パックしたり、値札のシールを貼ったり、量り売りなら計量してシールを貼ったり、陳列したりすることができます。スーパーなら、レジはレジ担当がするのでお金の受け渡しもありません。
魚の種類やおろし方、調理の仕方、お客さんへのアドバイスも、徐々に覚えていくことができます。大将だって最初は知らなかったんですから。始める前に「写真を見て魚を覚えてきて」や「写真を見て魚をおろせるようになってきて」ということはほぼありません。
今の世の中、魚を触れない人も多い中、魚の調理ができるというスキルを持つことはとてもカッコイイと思います。私も時々腕を振るうときがありますが、「何でこんなにできるんですか?超キレイ」とよく言われます。ちょっと優越感ですね。ぜひ目指してみてください。