StrapAI、4人の開発現場で見えること – Goodpatch Tech Blog

「エンジニアが少ない=大変そう」と思うかもしれません。

でもStrapチームにいると、4人の少人数だからこそ濃い議論ができ、意思決定も早く、手触り感のある開発ができる組織文化を日々感じます。

その中心でチームを支えているのが、テックリードのよっしーさん。
技術的な判断だけでなく、メンバーが迷った時に相談できる空気をつくってくれる存在です。
(個人的には“近所のお兄さん”みたいな安心感があります。Quest 3が出た時に、おふるとなったQuest 2をくれました。ありがとうございます!)

Podcastでよっしーさんが話してる回↓
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普段一緒に開発をしていると、当たり前に思えることも多いですが、
振り返ってみると「このチームの良さ」は、外から伝わりにくいのでは?と改めて感じました。
そこで今回は、自分自身も知りたかった「少人数チームのリアル」や「これからのStrap」について、
よっしーさんに話を聞いてみることにしました。

聞き手は、Strapに新卒から関わって3年目になるエンジニア・ちげです。よろしくお願いします!

1. Strap チームが「少人数で開発する」ことの良さをどう感じていますか?

少人数の良さは、コミュニケーションパスが少なくて、意思決定が速く、裁量が大きい点だと思います。
「待ち」の状態や「決まらなくて進まない」といったことが少ないのは大きいですね。

アイデアを出してその場で議論し、翌日には動いている。大きな組織ではなかなか味わえないスピード感かなと感じます。

また、暗黙知化しやすい作業を分担して、特定の担当に偏らないように知識を平均化する取り組みもやりやすいと思います。実際、そういう面はある程度できていると思います。

2. 逆に少人数の難しさは?

知識の平均化を意識しつつも、少人数だと「〇〇機能担当」のように人が固定化されやすい問題はあります。強く意識して分担しないと属人化が進んで、「あの人がいないと分からない」という状況が起きやすいので注意しています。

運用面の難しさもあります。障害や問題が発生すると、元々の計画に影響が出やすいんですよね。
問い合わせが増えると調査の機会も増えて大変です。だからこそ、そもそもの部分で問題がない様に丁寧な機能づくりを心がけています。

また、これは難しさでもあり良さでもありますが、1人のエンジニアが担当する裁量範囲が広いことです。

機能を1つ作るとき、その人がほぼすべてを担います。
API設計、データ設計、インフラ設定、フロントエンド実装、必要なら商談参加、ユーザーテスト、体験設計まで、すべて一通り担います。

これは少人数チームだからというより、チーム自体の文化かもしれません。広い責任範囲を「大変」と感じるのではなく「経験を広げられるチャンス」として楽しめる人にとっては、とても良い環境だと思います。

3. 少人数ゆえに「カバーすべき範囲」が広くなると思うのですが、役割や責任の持ち方にはどういうバランスを取っていますか?

基本的には、自分の得意な領域を軸にしつつ、必要があればどこにでも手を伸ばすスタイルです。

プロダクトマネージャーが1から10まで決めるチームではなく、
「体験も含めて、担当するEpicの要求から機能要件を定義し、詳細設計して実装する」までを、その担当者が責任を持つ文化があります。

その上で、自分の不得意な領域は他のエンジニアに相談しながら柔軟に進めています。
例えば、僕は普段フロントエンドを中心に担当していますが、AIモジュールの設計やバックエンドの仕様調整・最適化に入ることもあります。

この「幅」を担保するには「責任の所在」と「知識共有」がセットでないと正常に回らないと思っています。
そこで、担当者が最後まで責任を持ちつつ、その過程で意見交換や設計レビュー、コードレビュー、必要であればペアプロを行います。
この様にして、一人だけが抱え込むのではなく、チーム全員が設計の背景や目的を理解できるようにしています。

このあたりは、Strapチームが開発時に何を大切にしているのかについて過去に言語化した記事があります。

goodpatch-tech.hatenablog.com

自分の専門性を広げつつ新しいことに挑戦できる環境は、Strapチームの大きな魅力だと思います。

また、バランスを取る上では保守性の観点もあります。

スピードが求められる状況ではありますが、保守性を犠牲にすると結局その後の開発速度が落ちてしまいます。
負債となるコードを放置すると、少人数チームではすぐに身動きが取れなくなるんですよね。

だからこそ、POから「早く出したい」という要望があっても、ビジネス状況を踏まえつつ保守性を妥協せずに守るスタンスを大切にしています。
バグや負債解消のIssueもPOと優先度を相談しながら進めていますし、レビューやテストも当たり前のプロセスとして徹底しています。

4. 最近 AI 機能をメインでゴリゴリ開発してますが、技術的にワクワクするポイントはありますか?

正直に言うと、僕自身は「AIを技術的に扱うこと」自体に面白さは一切、感じていません。

ただし「お客さんの体験を良くするための手段」としては、ものすごく大きなゲームチェンジだと思っています。
ユーザー体験を根本から変えられる機能を作るのは、とても面白いですね。

Strap では生成AIを活用してホワイトボード上に図を自動生成する機能を開発していますが、精度やアルゴリズムよりも、「ユーザーに自然に受け入れられるかどうか」が勝負になります。
僕自身も「AIの技術を追いかけること」よりも「ユーザー目線で便利かどうか」に興味を持っているタイプです。

「価値をどう届けるか」よっしーさんの過去の記事↓
goodpatch.com

そこで、チームでは小さなプロトタイプを素早く作り、すぐにユーザーに試してもらい、そのフィードバックをもとに改善するサイクルを高速で回しています。
そうした挑戦を日常的にできるのは、大規模な開発組織ではなかなか得られない貴重な経験だと思います。

5. チームでAI機能をどう育てているか意識していることはありますか?

僕らがAIを使う文脈は大きく2つあります。

1つは「自分たちが機能開発の中でAIを活用すること」、もう1つは「お客さんに提供する機能としてAIを組み込むこと」です。

どちらにおいても共通するのは、とにかくあらゆる情報をチーム全員で拾ってくることが欠かせない、という点です。
AIは変化の大きい分野なので、日々新しいモデルや機能が登場し、1年前にはできなかったことが今できるようになることも珍しくありません。

そのため「キャッチアップし続けて、より良いものがあれば取り入れる」という意識を常に持っています。

また、ユーザーに提供する機能の文脈では、最近作ってる機能は、技術的な制約から1度断念してるんですが、もう1度復活させたりして、機能提供できそうな雰囲気ができてきています。

色んな可能性を探ることは意識していて、 その辺は面白いなぁと感じてます。

やっぱり1番はユーザーの体験なので、ユーザーに提供するという視点や意識は常に大事だと思ってます。

6. よっしーさん自身、テックリードとして「これは大切にしている/こだわっている」価値や習慣は何ですか?

「提案はとりあえず全部聞く」ですね。

相談しやすい空気をつくることは大事ですし、自分が一番詳しいとは思っていないので、全部聞いた上で、よほど違和感がなければまずはやってみよう、というスタンスです。

正直、チームメンバーは十分に良い判断ができる人たちなので、僕が決める必要はあまりありません。

テックリードは「意思決定をするロール」だと理解して、そのスタンスでやっています。いわゆる「リーダーが全部決める」というスタイルではないですね。
もちろん、保守性や将来を考えた時に何がベストかという観点はあるので、普段からエンジニアどうしで相談する習慣があるのは良いことだと思っています。

あとは「よく感謝を伝える」。笑

いつも「みんなありがとう」という気持ちで仕事しています。

7. ビジネス側、POとの関係性はぶっちゃけどうですか?

かなりフラットです。

「今一番大事なことをやる」という方向性は一致していますし、POが持ってくる優先順位に対しても、技術的に難しい点や別アプローチを率直に伝えられる関係です。
逆にこちらから「この技術を試したい」と提案すれば、ビジネス側が興味を持って後押ししてくれることも多いですね。

POと一緒にお客さんに直接インタビューしたり、プロトタイプを見せながら機能を検討することもあるので、「POが決めて、それを実装するだけ」という関係性ではありません。

意思決定も速く、お客さんに近い環境で、エンジニアが単なる「実装要員」ではなく、プロダクトの方向性を一緒に決められるのは良いところです。

ただ、エンジニアとビジネス側では温度感というか、肌感覚の差があるのも事実です。

エンジニアとしては、新規開発だけでなく改善にも一定のリソースを割かないとプロダクトはどんどん劣化してしまいます。そのため、POの要望を満たしつつ、中長期的に大きな問題になりそうな部分をどれだけ潰せるかが難しいバランスです。

僕一人がそこを気にしていたら疲れてしまうと思いますが、今のチームは保守性や品質を大事にするメンバーが多いので、安心して進められている面もあります。

8. Strap のこれからの展望で、「ここをこう変えていきたい」「こういう方向に成長させたい」というビジョンはありますか?

機能提供という観点で言うと、この3〜4年ほどは「複雑な作図UIをいかに楽に、簡単にして作り手を増やすか」「どう快適に作ってもらうか」という点に注力してきました。

goodpatch-tech.hatenablog.com

そこにAIが登場したことで、ユーザーが「作り手になるハードルが大きく下がった」と感じています。

ユーザーの頭の中にあるアイデアをそのまま図として視覚化できるようになってきて、快適に作れる図のレベルやフェーズが一段変わった印象です。

作り手を増やすハードルが下がったことで、次はプロダクト構想の次のステップ
──たとえば「図解ナレッジの資産活用」といった、より大きな課題にシフトチェンジしやすくなったと考えています。

チームの観点で言えば、今の人数が最小単位に近いと思っているので、もう少し人を増やしたいですね。

機能開発と保守のバランスも、保守にもっと投資できるようにしたいと思っています。
また、AIを活用した開発によって機能実装のハードル自体が下がってきているので、より「体験」に集中できるようになるのが理想です。

ただし、これまで通り「広い責任範囲で手を動かし、ゴリゴリ開発する」という姿勢は変わらないと思います。

よっしーさん、インタビューに答えていただきありがとうございました!

普段の1on1だといつも最近の仕事の話題で終わっちゃうので、(ここに書いてないことも含め)AI機能への向き合い方、そしてStrapのこれからについてなど、改めてたくさんのお話が聞けてめちゃくちゃよかったです。開発者ですが私もイチユーザーとして、ますますStrapの進化が楽しみになりました。

人を増やしたいというお気持ちもあるので、今回のインタビューで、Strapチームの「ものづくりへの情熱」と「ユーザーを第一に考える姿勢」が外部にも伝わって、興味ある方の目に留まれば良いなと思います。

ここまでのお相手は、3年目エンジニアのちげがお送りしました〜

2025.9.26現在、Strapチームではエンジニアの採用を行なっています。まずはカジュアル面談からお気軽にお待ちしております!

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Goodpatch側でも、デザイン好きなエンジニアの仲間を募集していますので、少しでもご興味を持たれた方は、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう!




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