事業の判断を導く羅針盤。見えない基盤を設計するデータエンジニアリング | Wantedly Engineer Blog

こんにちは、ウォンテッドリー株式会社 執行役員 VPoE の要 (@nory_kaname )です。

普段は開発組織全体のマネジメントが主なシゴトですが、BI Squad や QA Squad のように、プロダクトを支えながら前進させるチームも担当しています。今回は、その中でもBI Squadにフォーカスして、どんな目的でどんな取り組みをしているのかを紹介します。

目次

  • 「数字でココロオドル」を支える存在として

  • 一般的なBIチームとの違い

  • データ基盤をつくるエンジニアリング

  • マネージャーから見たBI Squadの面白さ

  • 一緒に基盤をつくる仲間を探しています

「数字でココロオドル」を支える存在として

BI Squad の OKRを作るときは、「数字」と「ココロオドル」で表現するようにしています。

私たちにとって「数字」は単なる結果ではなく、事業を進めるための羅針盤です。どんな施策がユーザーに届いているのか、プロダクトの機能は本当に価値を生んでいるのか。経営や開発の判断の根拠になる一つが数字です。

ただ、数字がきちんと定義されていなかったり、見たい時にすぐ参照できなかったりすると、議論がかみ合わないことがあります。部門ごとに違う解釈が走り、最悪の場合は意思決定が遅れる。現場ではそういう小さな「ノイズ」が事業スピードを落とす要因となります。

BI Squad は、その「ノイズ」をなくし、誰もが安心して数字を使える環境をつくることをミッションにしています。見た目はシンプルなダッシュボードでも、その裏側には定義やモデル化、そして快適に使うための設計があります。そこに手を入れるのが私たちの役割です。

一般的なBIチームとの違い

会社や組織によってBIチームの役割は異なります。BIチームと聞くと「レポートをまとめる人」「分析をする人」を思い浮かべる方も多いと思います。私たちのBI Squadは少し違っていて、私たちが担っているのは分析を可能にする仕組みそのものをつくることです。

経営陣やプロダクト開発のリーダーからは「新しい機能がどのくらい使われているのか」「どの機能がユーザーの価値につながっているのか」といった依頼があります。これらはプロダクトの方向性を決めるうえで重要です。マーケティングやPRからは「キャンペーンや施策はどんなユーザーに届いたのか」「どの取り組みが認知拡大やエンゲージメントに効いているのか」といった相談があります。これはブランドや認知を広げていく活動に欠かせません。

こうした依頼に対して、単発で数字を返すだけでは意味がありません。私たちが大事にしているのは、誰もが繰り返し使える仕組みとして基盤化することです。そうすることで、経営も現場もスピーディに、そして同じ前提で意思決定ができるようになります。

データ基盤をつくるエンジニアリング

BI Squadがやっているのは「数字を眺めること」ではありません。数字を誰もが安心して使える共通の言語に変えていくことです。

そのために使っているのは、BigQueryやdbt、Lookerといった技術です。イベントログやさまざまなデータをデータウェアハウスに集約し、共通定義でモデリングして、ダッシュボードからすぐに触れるように整える。この一連の流れが、BI Squadのエンジニアリングの仕事になります。

詳しくは、Wantedly Engineering Handbook データ基盤入門を参照ください。

データ基盤入門 | Wantedly Engineering Handbook

このドキュメントの目的は Wantedly におけるデータ基盤の存在意義と構成要素を紹介し、データを活用するための基礎的な知識を理解してもらうことです。 経営においてデータを使って判断することは必要不可欠であり、その正確性とスピードがビジネスの勝敗を決めます。 Wantedly のデータ基盤の存在意義の1つは、そのビジネスにおける意思決定の正確性とスピードをサポートすることです。 また Wantedly のプロダクトでは、データそのものがユーザーにとっての価値を生み出します。 そのユーザーにとっての価値を

快適さにもこだわっています。以前はダッシュボードを開くのに数十秒かかっていた画面を、最適化によって数秒で返せるように改善したこともあります。小さな改善に見えますが、現場のスピードは大きく変わります。

Looker ダッシュボードの最適化:スロット消費量を削減するためにやったこと | Wantedly Engineer Blog

こんにちは、ウォンテッドリーでアナリティクスエンジニアをしている木村(@akimu294231)です。このストーリーは Wantedly Advent Calendar 2024 の11日目の記…

そしてここではっきり伝えたいのは、私たちのBI Squadはアナリストや事業企画のように数字を分析して結論を出すチームではないということです。必要なのは、分析を可能にする環境そのものを設計し、実装できるエンジニアリングするチームです。

マネージャーから見たBI Squadの面白さ

私自身、Wantedly Visit や Wantedly Peopleのプロダクト開発に携わり、いまはWantedly Hireの開発にも関わっています。その経験から強く実感しているのは、「プロダクトをデータから客観視する」ことの大切さです。日々の足もとのプロジェクトを進めていると、どうしても目の前の課題やユーザーの声に引っ張られがちです。もちろんそれは重要なのですが、数字という客観的な基盤があることで、初めて事業全体を正しく捉えることができます。その背景を知っているからこそ、いまの立場としてBI Squadを担当していることには大きな意味があると思っています。過去のプロダクト開発の経緯を知り、数字と事業の両方を理解している立場から、チームを導けるのは強みのひとつだと感じます。

BI Squadの面白さは、裏方のように見えて実は事業全体のスピードを変えるところにあります。派手さはなくても、意思決定の精度を高め、マーケ施策の効果検証を早め、プロダクトの方向性を支える。そういう「縁の下の力持ち」的な役割に魅力を感じられる人にこそ、向いているチームだと思います。

一緒に基盤をつくる仲間を探しています

私たちのBI Squadは「数字を動かす」のではなく、「数字で事業を動かす基盤をつくる」チームです。もしあなたが「基盤をつくることで事業を前に進めたい」「仕組みを設計するエンジニアリングに挑戦したい」と思うなら、ぜひ一緒に挑戦してほしいです。

自分のエンジニアリングが経営の判断を支え、マーケティングを後押しし、プロダクト開発を正しい方向へ導く。そんな経験ができるのが、私たちのBI Squadです。




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