新卒入社したQAエンジニアの育ち方まとめ(2025) – Cybozu Inside Out

こんにちは。QAエンジニアの massan です。最近QA新卒採用のチームに加わったので、今回は新卒で入社したQAエンジニアが最初の1年間ほどで、どのようにスキルを伸ばしていけるかをまとめてみようと思います。

入社後の研修の流れを説明した図です。全体研修が1ヶ月、エンジニア研修が2ヶ月、その後並行しながらチームごとのオンボーディングやQA入門講義があります。
入社後の研修イメージ

サイボウズにエンジニア職として入社するとまず人事による全体研修、開発本部主導によるエンジニア研修を受け、その後担当するプロダクトやチームが決まっていきます。それぞれの研修については以下のリンク先をご参照ください。

本記事ではQA入門講義をはじめとする、プロダクト配属後の受け入れ体制についてお話しします。

チームごとのオンボーディング

配属後すぐ先輩社員と一緒に実務に入る人もいれば、まずはチームごとの入門課題をやる人など様々です。周囲と話しながら、担当するプロダクトへの理解を深め、徐々に1人でできることや得意なことを増やしていきます。

QA入門講義

社内勉強会を開催・サポートするミネルヴァチームの運営によるQA入門講義です。エンジニア研修でもソフトウェアテストに関する講義はありますが、さらにQAエンジニアとして活動していく上で必要なスキルや考え方を学ぶことができます。

ミネルヴァの過去の活動については以下のリンク先をご参照ください:
QA勉強会支援チーム「ミネルヴァ」の紹介(2021年版) – Cybozu Inside Out | サイボウズエンジニアのブログ

コンセプト

  • 「新卒QAエンジニアメンバー」に
    • 「QAエンジニアとして仕事をしていく上での、基本的な考え方がわかった」と言ってもらう
    • 「先輩QAエンジニアと関われた」と言ってもらう
  • 「新卒QAエンジニアメンバーを受け入れるチームのメンバー」に
    • 「チーム固有ではない知識やスキルの研修を任せられて楽になった」と言ってもらう
  • 「講義の担当者」に
    • 「自分の知っていることを整理して他者に伝える機会になった」と言ってもらう
    • 「新卒QAエンジニアと関われた」と言ってもらう

QA入門講義の講座一覧

講義名 概要
QA活動のシフトレフト入門 早い段階で品質を作り込む“シフトレフト”の考え方と、その実践法を学ぶ講義です。
本題から先に言うテキストコミュニケーション基本の型 開発チーム内での日常的なテキストコミュニケーションを円滑に進めるための心構えや、文章の書き方のヒントを知るための講義です。
テスト分析入門 テスト設計の前提となるテスト分析の考え方を学ぶ講義です。
不具合再現調査の基本 不具合の原因を探る第一歩として、再現手順を見つけ出すプロセスを学ぶ講義です。
不具合報告の基本 開発チームに必要な情報を伝えるための不具合報告の書き方の基本を学ぶ講義です。
不具合分析入門 見つかった不具合の背景や傾向を分析し、再発防止に活かす方法を学ぶ講義です。
API入門 APIの概要と試験観点、QAエンジニア目線での活用法を学ぶ講義です。
リクエスト改ざんツールの使い方 リクエスト改ざんについて、ツールの使い方とQA業務への活用方法を学ぶ講義です。
CVSS評価の基本 脆弱性の深刻度を共通の基準で評価する“CVSSスコア”の考え方を学ぶ講義です。

QA入門講義の主な対象は新卒社員ですが、既存社員で復習したい人、QA未経験で中途入社した人、他部署からQAへキャリアチェンジした人など、だれでも参加することができます。録画や資料も共有され、時間をあけて見直すこともできます。講師は主に社員なので、講義中や講義の後でも質問や議論を深めることができます。

上記の講義の他に、QAと関わりの深い部署の紹介や新卒メンバーが研修を通して学んだことの共有会も行われます。

講義例(API入門)

講義のうち、API入門の目次と一部資料を参考までにご紹介します。

  • APIとは
    • kintone JavaScript APIを実行してみよう
  • WebAPIとは
    • REST APIのリクエスト/レスポンス
  • REST APIをcurlで実行してみよう
  • QAとしてAPI開発で気を付けること
  • おまけ(APIクライアント, テストの効率化にAPIを利用する例, 関連情報の調べ先の紹介)

API入門から講義のスライドを1枚抜粋したものです。APIの利用例やユーザーにAPIを提供することについての開発者側のメリットが箇条書きで纏められています。
スライド抜粋(API入門)

新卒↔︎各チームQAざつだん

QAメンバー間のつながりを強化支援するQAコミュニケーションチームによる施策のひとつです。QAコミュニケーションの活動については、こちらの記事をご参考ください。

blog.cybozu.io

2025年度には、主に新卒の配属がない7チームと新卒メンバーの雑談が4回に分けて行われました。この取り組みの目的は、各チームのQAメンバーに新卒メンバーの顔や人柄を知ってもらうこと、そして新卒メンバー自身にも自分の所属チーム以外にどんなチームがあるのかを知ってもらうことです。ざつだんの際は、話しやすい人数に調整したり、事前に簡単な自己紹介を共有することで参加者の負担を減らすなど、工夫が凝らされています。

研修後のスキルアップ支援やサポート

*2025年10月時点での情報です。

新卒1年目かによらず、個々人のスキルを伸ばしたり活躍の幅を広げたりできるような取り組みがいくつかあります。

1on1:部門共通

チーム内のEM(エンジニアリングマネージャー)やQAのマネージャーなど、定めた人との定期的な面談です。直近の活動共有が主ですが、人によってはこれからやってみたいこと、サポートしてほしいことの話もしています。

SLP:全社共通

サイボウズ社員が自主的に取り組もうとする業務上必要なあらゆる合理的手段の学びに対し、学習費用を12万円/年を上限に補助する、という制度です。

cybozu.backstage.cybozu.co.jp

QAが利用している例:

  • 資格の受験費用(JSTQBや基本情報、応用情報など)
  • 資格の学習費用
  • 専門書の購入
  • Udemyなど学習動画の視聴
  • プログラミング学習コースの受講
  • 社外の技術系イベントの参加費
  • 英語学習

など
筆者は未経験な技術領域のプロジェクトに取り組むとき、前もって入門書を読んでおく、などのためにも利用しています!

QAざつだん班、Gathering Day:QA職能共通

QAコミュニケーションチームによる2025年の施策のひとつです。新卒入社に限らず、QAメンバーが他チームの人と交流をしやすくするための企画です。新卒のQAエンジニアにとって、他チームのQAが普段どのような仕事をしているのかを知る良い機会になります。また、さまざまなチームのQAメンバーと交流することで、自身のこれからのキャリアについて考えるきっかけにもなります。

おわりに

サイボウズにQAとして新卒で入社するメンバーのバックグラウンドはさまざまで、情報系学部出身のメンバーも、そうでないメンバーもいます。個々人が自分で学習したり、周囲にヘルプを求めたりするスキルも大切ですが、新卒社員が技術的にも、チームの新しいメンバーとしても活躍していけるような取り組みも積極的に行っています。
このInside Outの記事の中には新卒1年目のメンバーが執筆したものもたくさんあるので、ぜひ読んでみてください。




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