バクラク開発組織の Engineering Team Deck 公開と2025年の振り返り

こんにちは、バクラク事業部 CTO @yyoshiki41 です!

こちらは、LayerX Tech Advent Calendar 4 日目の記事「2025 年バクラク開発組織の振り返り」です。前回の記事はアカウント基盤開発部で毎日元気!な @convto さんの「組織図リソースと Temporal Data Model の相性についての考察!」 でした。

はじめに

2025 年も残り 27 日1となりました。今日は AI SaaS であるバクラク開発組織の 2025 年について、今週公開したばかりのエンジニアデックを元にしながら振り返っていきます。興味のある方はぜひスライドもご覧ください!

speakerdeck.com

前年 2024 年のハイライト

昨年はバクラク事業部として苦しい時期を乗り越えての一年でした。社内では「メラ期」と呼ばれる状況で、2023 年から続く中で成長の鈍化がみえ、平時ではなく戦時として切り替える必要がありました。2

note.com

プロダクト開発部としても新規での採用やイベントにかける時間を極限まで削り、目の前で開発とお客様に集中する体制にシフトしました。とはいえ toB プロダクトにおける開発アウトカムは遅行指標の性質を持ち、提供した機能が短期で事業数値にヒットさせれるものは多くありません。なにより、本来プロダクトが描くべきビジョンは「お客様の未来を変えるべきもの」で、短期的な数値への寄与にコミットするべきものではありません。しかし平時のとおりに過ごしていては現実は変わらないため、少しでも事業数値に貢献する開発が可能なロードマップに切り替えました。また短期でもインパクトに繋がる開発に取り組む遊撃チームも編成、プロダクト開発チーム外でも Platform Engineering チームもプロダクトへの直接的貢献が可能な開発を行う総力戦でした。

2024 年をのり越えたバクラク開発組織の一年をみていきます。

プロダクト

2025 年 1 月にバクラクシリーズ初となる HCM(人的資本管理)領域である「バクラク勤怠」がリリースされました。3 月には「バクラク債権管理」がリリースされ、リリース 5 年でシリーズ合計 8 つのプロダクトを提供するまで成長しました。

7 月には紙、電子メール、Web サイトなどのあらゆる形式で届く請求書をバクラクで一手に受け取りを行う「バクラク受領代行」をリリースしました。LayerX が生み出した造語である AI BPO という新たな事業のフロンティア領域になっています。BPO (ビジネス・プロセス・アウトソーシング) としての価値提供を行うだけでなく、AI/LLM 技術の台頭により可能となったオペレーション自動化にも取り組んでいく技術的にもチャレンジングな事業です。エンドユーザーに必ずしも AI エージェントを提供する事が正解とならない(システムとしての安定性がエンドユーザー向けの水準に至らない)状況での事業的な確実なステップとなる戦略です。

bakuraku.jp

そして同じく 7 月には、今度はエンドユーザー向けの AI エージェントである「AI 申請レビュー」の提供も開始しました。稟議内容をリアルタイムで自動レビューする機能で、リリース 5 ヶ月が経過し、お客様に大きな価値提供をもたらしており、AI とプロダクトでお客様の業務を変える事が出来る確かな手応えを感じています。

ユーザー規模も拡大しており、バクラク共通のゲートウェイサーバーのリクエスト数は 2 倍(ピークタイムである月初時で比較)に増え、プロダクトの数だけでなくユーザー規模も今後更に成長する見込みです。(今日も Platform Engineering 部がスケールのための検証リハを行っており、マルチプロダクトの裏側を支える心強い動きをしてくれています)

また今後リリースを控えるプロダクトも複数あり、HCM 領域での給与、既存領域とは全く異なる製品リリースも準備しており、2026 年も引き続き事業成長を支えるプロダクト開発を爆速で進めていきます。

組織

エンジニア・QA の人数は 3 月時点 50 名から、4 月に開発部として新卒 6 名(デザイナー 1 名)を迎え、現在は 74 名にまで成長しました。
新卒メンバーは入社 3 ヶ月の間はスタートアップ合同での技術研修を挟みながらですが、その後は特別視することなく開発チームにジョインしています。皆インターンから経験しており、キャリアを積んできた中途メンバーと同じ開発チームで肩を並べて働いています。26, 27 年卒の新卒メンバーの入社も決まっており、引き続き LayerX でエンジニアとして成長を目指す方、学生の方も絶賛募集しています。

10 月からは、3 つの開発部を敷く体制にアップデートしました。

目的は 2 つで「1. プロダクト開発並列度を上げる」と「2. それぞれのドメイン領域内で独立した思考で考える」ことを反映させるためです。今後もバクラクが各ドメインでより広くより深く利用されることを目指し、元々 1 つだった開発組織をデカップリングした形です。

開発組織がつくるアウトカムをシンプルなモデルに落とすならば、「独立した思考をする人の数とそのインパクトの掛け算」で決まると考えています。各開発部の中で独立した意思決定を行い、各ドメインでの最適解を追求できるようにする事が目的です。

また同じく 10 月にはバクラク VPoE として、kanny さんが就任しました。今後の組織成長を牽引するとともに、エンジニア一人一人が最大限のパフォーマンスを発揮できるような組織設計を一緒に目指していきます。

開発部全体の人数は成長しましたが、1 開発チームあたりの人数は Coding Agent の利用が当たり前となった現在でも変わらず 2~5 人です。もとより最小人数構成、フルスタックなエンジニアでプロダクトを作り続けてきた為、結果として人数増減していないのが現実です。より小さなチームが可能なのかを思考実験すると、バクラクが向き合うドメインの複雑性を 1 人の脳内で抱えることの許容値超え、チーム内タスク並列数の限界と冗長性担保を鑑みて現状が最適と判断しています。小さなチームで大きなインパクトを出すことがソフトウェア・エンジニアリングの醍醐味でもあり、今後もこのカルチャーは大切にしていきます。(AI Coding Meetup も定期的に開催しており、今後も開発チームの変遷を発信していきます)

layerx.connpass.com

技術

2025 年は AI エージェント開発も前進した年でした。8 月には会社全体で Bet AI day を開催しました。セッション発表だけでなく、カウントダウンイベントとして 49 本の LT を一週間行われ、社内外に向けて AI 技術への取り組みを発信しました。この数の発信を一週間で行うのは前例がなく、組織の熱量は未だ途切れることなく続いていると感じられます。

AI エージェント開発では、実際に実装して得られた知見を継続的に発信しています。AI エージェントブログリレーでは、エージェントの設計から実装までの具体的なノウハウを公開しています。今後もプロダクションレベルでの AI エージェント運用における知見を様々なブログ以外の形式でも発信していく予定です。

tech.layerx.co.jp

AI エージェントの Platform 技術も同時に取り組んでおり、「プロダクトチームがリードタイムなしでエージェント実装に着手できる」ことを目指しています。

ユーザー操作や外部イベントを起点に、エージェントループの状態管理を行うワークフローには Temporal を採用しています。エージェントループ内での LLM ツール実行は非同期ジョブキューに委譲され、ロングランニングタスクの安全な実行やエラー時の再実行が可能です。AI エージェントはループ処理だけでなく、シグナルでの割り込みにも反応することができ、インタラクティブな振る舞いを実現しています。ワークフローは長時間実行可能なため、ユーザーが回答するまで状態を保持し、回答後にエージェントループの処理を再開できます。

zenn.dev

おわりに

触れられなかったトピックもありますが、2025 年バクラク組織が取り組んできた一端を紹介しました。
来年には開発組織は大台の 100 名に到達する見込みです。しかし、小さなチームで大きなインパクトを出すことは変わりなく、独立した思考を行っていくチームが更に増え、事業価値を作っていきます。

最後に今年読んで影響を受けた記事を紹介します。TiDB をゼロから立ち上げた siddontang さんの記事です。

medium.com

技術者としてのベースには技術があることは確かで、さらに 10 年を通し、Tech-first から Customer-first の重要性が体験から語られる説得力に、技術リーダーとして顧客の成功こそを最優先する姿勢に尊敬を覚えました。
ソフトウェアの世界でモノを作るしきい値が下がる中で、今後の開発者にはより一層の高い思考力と、外に出て顧客や社会と強い結びつきを持つことが求められると感じています。
来年もバクラク開発組織は技術とプロダクトでお客様の未来を変えることを目指していきます。




元の記事を確認する

関連記事