

株式会社リソースクリエイション
代表取締役 CEO
髙田 桂太郎 氏
たかだ・けいたろう/1985年東京生まれ。2015年4月1日に株式会社リソースクリエイションを設立し代表取締役に就任。1,000社以上の採用コンサルティングを担当。長年築き上げた採用に関するノウハウを生かして、SNS採用マーケティング「エアリク」を展開。自社のSNS総フォロワー数は150万人超え、総再生回数は10億回を突破。
東京商工リサーチの調査によると、今年の上半期に倒産した中小企業は過去最多を記録した。主な原因に求人難や従業員の退職、人件費の高騰があり、日本の労働市場では依然として深刻な人手不足が続いている。
株式会社リソースクリエイションは、SNS採用マーケティングサービス「エアリク」を主軸に幅広く企業の採用支援を行っている。「従来の採用手法だけでは訴求力が弱く、企業側は差別化ポイントを打ち出す工夫が必要とされています。こうした中で、他社との差別化を図りつつ、若年層を中心に効果的なアプローチが可能なSNS広告は採用活動における有力な手段となりつつあります」と同社代表の髙田氏はいう。
今回は、髙田氏に企業が新たな採用手法として特に着手するべきだという「SNS広告」について伺った。
採用・SNSの市場と課題
リソースクリエイションが実施した2026年度卒の就活生747名を対象とした調査では、過半数が選考に進む上で最も重要視しているのは「会社の雰囲気」と回答した。
髙田氏「この結果から、社内の様子や働き方を伝えられるSNSの需要が高まっていることがうかがえます。実際に、同調査では約9割の就活生が企業のSNSアカウントは必要だと回答し、特にテキストだけでなく画像や動画で情報を得られるInstagramやTikTokが人気です」
また、総務省の調査では、国内SNS利用者数が2023年時点で1億580万人を超えたことが明らかになっている。
髙田氏「採用にSNSを取り入れる企業も急増しており、競争環境は年々激化しています。単にアカウントを開設して投稿するだけでは、無数の投稿に埋もれてしまい、求職者に発見してもらうのは困難です」
その課題を解決する手段として注目されるのがSNS広告だという。
髙田氏「広告を活用すれば、事前に設定したターゲットのおすすめ欄に表示させることができ、潜在層にも直接訴求が可能です。皆さんも思わず見入ってしまった経験があるのではないでしょうか」
髙田氏によれば、InstagramやTikTokの「通常運用」と「広告」は異なる効果を持つものの、相互に補完し合う関係にあるため、両者の特徴を理解し適切に使い分けることが重要だという。
では、それぞれの役割はどのように異なるのだろうか。
SNSの通常運用と広告の違いと使い分け
InstagramやTikTokの「通常運用」について、髙田氏はこう解説する。
髙田氏「Instagramの通常運用は主に画像を投稿できるフィード投稿、ショート動画を投稿できるリール、24時間だけ表示されるストーリーズの機能があります。一方、TikTokでは15秒〜3分程度の短編動画の投稿やライブ配信が可能です。
通常投稿は、働く社員の姿や日常の様子をリアルタイムに発信でき、企業の雰囲気を伝えることに適しています。長期的なブランディングにも有効で、広告をきっかけに訪れたユーザーにとっても企業理解を深める資産として残ります」
一方、広告には即効性があるという。
髙田氏「SNS広告の場合、Instagram内では、「ストーリーズ」、「リール欄」、関心のあるコンテンツを探す「発見タブ」などに表示され、TikTok内では、アプリ起動時の画面、フォロー外の動画が流れてくる「おすすめ欄」そして「検索ページ」にて表示されます。
年齢や地域、キーワードなど条件を細かく設定できるため、求める人材に的確にアプローチできるのが特徴です。通常投稿が既存フォロワーに届くのに対し、広告はSNSを利用している幅広い層にリーチできるため、新しい応募者層の獲得につながりやすいのです。また、通常の投稿と同様に画像や動画によって社内の雰囲気やサービスの内容なども伝えられるため、文字だけでは伝わらない企業側の想いが届き、よりターゲットの目に留まりやすくなります」


採用にSNS広告を活用するメリット
また、髙田氏によれば採用にSNS広告を活用するメリットを大きく3つある。
1つ目は応募数の増加だ。
髙田氏 「人手不足が深刻な建設業界のある企業では、求人広告のみの時期と比べて、SNS広告導入後に応募数が10倍以上に伸びた事例があります。顕在的な求職者だけでなく、転職を考え始めたばかりの人や単に興味がある人にも認知してもらえるのが強みであり、新しい応募につながる可能性が高いのです。さらに、広告から応募ページへワンクリックで移動できるため、離脱が少なく応募に転じやすいことも理由の1つです」
2つ目は費用対効果である。
髙田氏 「SNS広告を使うことで、求人媒体に比べ採用費を約1/3、エントリー単価を最大1/10まで圧縮できたケースもあります。ポイントは、低コストというだけではなく、応募数の上限がないことです。求人広告は訴求先が求職者に限定されるため、一定水準を超えると投資額を増やしても応募数が伸び悩むことがありますが、SNS広告は潜在層も含め広範囲にアプローチできるので、投資額を増やせばその分、成果が見込めます」
3つ目はスピード感だ。
髙田氏 「求人広告は準備や校正に時間を要しますが、SNS広告なら設定後すぐに配信を開始することができます。また、介護業界の企業では導入後わずか1ヶ月で135件の応募を獲得した事例もあります。これは、InstagramやTikTokといった日常的に利用されているSNSを活用することで、短期間で大量の露出が可能であることが要因です。さらに配信開始直後からクリック数や応募数のデータを取得でき、すぐに対応し改善が可能です。つまり、配信前からその後まで一貫してスピード感のある運用が可能なのです」


デメリットと注意点
しかし、SNS広告には課題もあるという。
髙田氏「AIによる自動ターゲティングは必ずしも精度が高いとは限りません。運用初期は意図しない層からの応募が入る可能性もあります。継続的な配信で学習が進めば精度は向上するものの、初期段階では試行錯誤が必要です。また、ユーザーによっては広告感が強すぎると敬遠されるリスクもあります。
そうしたリスクを回避するためには、デザインや編集を工夫したうえで通常運用と広告を併用することが望ましいです。広告で興味を持ってアカウントを訪れたユーザーに対して、通常投稿で積み上げてきたブランディングによって応募意欲をさらに高めます」
まとめ
「通常の投稿で長期的なブランディングを確立しつつ、SNS広告で即効性のあるアプローチを行う。この組み合わせが相乗効果を生み、確度の高い採用につながるのです」と髙田氏は強調する。
髙田氏「売り手市場が続く中で、企業は求職者の動向を的確に把握し訴求されることが求められます。従来の採用手法に加え、SNSを活用した発信が人材を確保するための重要なポイントとなります。採用活動に課題を抱えている企業こそ、新たな一手としてSNS広告を取り入れてみるのはいかがでしょうか」
(寄稿:リソースクリエイション)
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