【HRog決算解説】パソナグループの2026年5月期第1四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは? | HRog | 人材業界の一歩先を照らすメディア

株式会社パソナグループの2026年5月期第1四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

一目でわかる! パソナ決算情報のグラフィックまとめ

パソナの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。

BPOソリューションにおける大型受託案件のピークアウト影響は続いているものの、その減収幅は縮小傾向にあります。一方で、人員増と処遇向上による人件費の増加、グループ全体でのITインフラ利用料金の改定によるIT関連費用の増加が営業利益を圧迫する要因となりました。

特別損失では、大阪・関西万博のパビリオン出展関連費用5.2億円が計上されましたが、協賛金収入や万博物販収入などの営業外収益の増加により、経常損失は前年同期から大幅に改善しています。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

パソナの今期決算について、主に決算短信をもとにセグメント別の業績や業績予想について詳しくまとめました。

主要セグメント・サービスの業績について

出典元:決算説明資料(p.5)

HRソリューション事業

パソナグループの主要事業であるHRソリューション事業は、以下のサービスを展開しています。

・BPOソリューション(委託・請負)
・エキスパートソリューション(人材派遣)
・キャリアソリューション(人材紹介・再就職支援)

BPOソリューション(委託・請負) では、売上高330億円(YoY△1.9%)と減収となったものの、営業利益は25億円(YoY+3.6%)と増益を達成しました。大型受託案件のピークアウトによる減収幅は縮小しており、新たに企業のDX支援やシステム開発等の案件獲得が進んでいます。

エキスパートソリューション(人材派遣) は、売上高346億円(YoY+2.7%)と増収となりました(営業利益はBPOとの連結発表)。人材不足が続く中、人材派遣の需要は安定しており、派遣稼働者数は前年同期を上回って推移しています。新規登録者の登録時の利便性向上と就労決定までのプロセス見直しにより成約の早期化を実現しました。

キャリアソリューション(人材紹介、再就職支援) は、売上高33億円(YoY+1.4%)、営業利益8億円(YoY△11.3%)となりました。人材紹介事業では戦略的に注力するハイキャリア領域で安定した需要が継続し、紹介手数料の平均単価も上昇しましたが、社内システムのリプレイスや一部顧客での採用抑制により売上高が想定を下回りました。

その他事業

パソナグループでは他にもこれらのソリューションを提供しています。

・グローバルソリューション(海外人材サービス)
・ライフソリューション(子育て支援、介護等) 
・地方創生・観光ソリューション

グローバルソリューション(海外人材サービス)は、売上高27億円(YoY△0.4%)、営業利益0.2億円(YoY△64.1%)となりました。米国では経理・給与計算業務のBPOサービスや人材紹介が拡大し、台湾では半導体製造業を中心に人材紹介及びBPOサービスが拡大しました。しかし、一部地域では人材需要の変化により案件獲得が進まず、特定企業の事業縮小に伴う取引減少もあり減収減益となりました。

ライフソリューション(子育て支援、介護等)は、売上高22億円(YoY+8.6%)、営業利益0.1億円(前年同期は9百万円の損失)となりました。子育て支援事業では、東京都内で今春から新規学童クラブ等の運営が拡大したことで増収となり、ライフサポート事業では、都市部の自治体を中心に家事代行等の子育て支援サービスの受託規模が拡大し、増収増益となりました。

地方創生・観光ソリューションは、売上高20億円(YoY+21.5%)、営業損失3億円(前年同期は4億円の損失)となりました。今夏より兵庫県淡路島で宿泊施設や飲食施設を開設したことで一時費用が増加しましたが、既存施設の売上増により赤字幅は改善しています。

来期の業績予想について

出典元:決算説明資料(p.19)

業績予想に変更はなくパソナは今期から黒字転換を見込み、売上高3,300億円(YoY+6.7%)、営業利益25億円、純利益5億円での着地を予想しています。

業績予想の根拠について

①市場の追い風
人材不足を背景に国内人材需要は堅調に推移するが、一部企業では採用抑制を見込みつつ、人材派遣や再就職支援サービスの需要が継続を想定。

②BPOソリューションの改善
大型受託案件のピークアウト影響は前年度から改善傾向にあり、BPOの需要自体は堅調と見込みつつ、オペレーション効率化による粗利率の改善は計画通りに推移。

今期決算資料の注目トピックは?

出典元:決算説明資料(p.9)

パソナがパビリオンを出展していた大阪・関西万博は2025年10月13日に終了しました。

エキスパートソリューション事業では、万博スタッフ延べ2万人に対して会期終了後の転職・就業支援フェアを開催し、107社・約2,500名が参加するなど、万博を通じた人材支援事業の展開も積極的に行っています。

人事面では、2025年8月22日付で、中尾慎太郎氏が新たに代表取締役社長に就任しました。今後は、自ら育て上げたBPO事業を成長の軸に据え、グループ全体の拡大を牽引していく見通しです。2030年までに売上高を約25%増の1,700億円へ伸ばす中期ビジョンのもと、M&Aを含む事業拡大を積極的に推進し、新体制でさらなる成長フェーズへと踏み出します。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

2026年5月期第1四半期では、BPOソリューションを中心に収益改善が進んだパソナグループ。大型案件のピークアウト影響は残るものの、DX支援やシステム開発など新規案件の獲得で減収幅は縮小し、利益面でも持ち直しの兆しが見られました。

8月には中尾慎太郎氏が代表取締役社長に就任。自ら育て上げたBPO事業を成長の軸に据え、M&Aを含む事業拡大と、前期に発表された同社初の中期ビジョン「PASONA GROUP VISION 2030」に基づく成長戦略を推進していく方針です。

人材不足や業務の高度化が進む中で、企業のバックオフィスを支えるBPO市場は引き続き拡大が見込まれます。新体制のもと、専門性と効率性を両立するソリューション企業への進化を目指すパソナグループの動向に、HRog編集部では今後も注目していきます。

【参考URL】
2026年5月期第1四半期 決算短信
2026年5月期第1四半期 決算説明資料


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