Power BI の活用、進んでますか?
弊社では2025年5月に Power BI Pro アカウントが社内に広く配布されました(一部のメンバーを除く)。
同じタイミングで私が所属するデータチームに Power BI の運用が移管されることになったため、このタイミングを契機に、本格的に Power BI の社内推進を進めてきました。
Power BI 運用の主管となり約半年が経過し、Power BI 社内推進のための施策をいくつか実施してきました。そこで、本投稿では各施策概要とその実施した意図をシェアしたいと思います。
これから Power BI の社内導入に取り組む、もしくは社内浸透を進める施策を検討する皆様のヒントになれば幸いです。
実施した施策の一覧(実施中含む)
2025年5月〜10月上旬にかけて実施してきた施策の一覧は、以下の通りです。
利用者向けのドキュメント作成から説明会と勉強会、Power BI レポート作成者向けの自習コンテンツの提供や既存のレポート紹介など、幅広くアクションしてきました。
(施策名が太字の部分は、後述の「各施策の概要と実施した意図」の章にて内容を紹介します)
| 実施順 | 施策 | なぜやるのか |
|---|---|---|
| 1 | Power BI 利用ガイドライン・マニュアル作成 | Power BI 利用者からの問い合わせ工数削減のため |
| 2 | Power BI 社内説明会 | 利用希望者に向けて Power BI の利用に必要な情報を提供するため |
| 3 | データ活用事例の勉強会 | 他部署のデータ活用事例をシェアして Power BI の活用イメージを膨らませてもらうため |
| 4 | Power BI レポート作成者向け勉強会 | Power BI レポート作成に関心のあるメンバーのレポート作成のハードルを下げるため |
| 5 | 既存 Power BI レポートの紹介 | Power BI の機能や工夫を伝えることで、Power BI の活用イメージを膨らませてもらうため |
| 6 | Power BI レポート作成の自習コンテンツ提供 | 自走して Power BI レポートの作成スキルを伸ばしてもらうため |
各施策を実施検討する上で共通して念頭に置いていたのは、以下の2点です。
- Power BI を利用するにあたってどの作業がハードルになりそうか
- 何をすれば自走して Power BI を活用してもらえるか
そのため、なるべく「その時だけの単発施策」で終わらないよう、ドキュメントや録画といった後からキャッチアップできる形で残せるような施策を優先して行っています。
各施策の概要と実施した意図
施策の一覧のうち、施策名が太字になっているものについて、概要と実施した意図を紹介します。
Power BI 利用ガイドライン・マニュアル作成
概要
Power BI を利用する上での全社向けルールである「Power BI 利用ガイドライン」と、「Power BI の利用マニュアル」をドキュメント化しました。

Power BI 利用ガイドライン

Power BI 利用マニュアル一覧
「Power BI の利用マニュアル」では、公式のマニュアルへの誘導ではなく、ほぼ全て実際の画面のスクリーンショットを多用して自前で作成しました。マニュアルは全て kintone アプリに集約しています。
実施した意図
Power BI を社内展開する前準備として、最低限の利用ルールの作成と利用マニュアルの用意は必要だと考えました。
あらかじめドキュメントとして用意しておくことで、Power BI の案内をする全社告知や勉強会、利用者からの問い合わせ時などにドキュメントへのリンクを誘導するだけで済みます。
現に、利用者との問い合わせなどで大活躍しており、対応工数の削減に大きく貢献してくれています。
ちなみに公式マニュアルへの誘導を検討しましたが、マニュアルの分かりやすさや読みやすさを重視して、全て自前で作成することにしました。
Power BI レポート作成者向け勉強会
概要
Power BI レポートを作成したいと思っているがなかなか手が出せていないメンバーに向けて、Power BI Desktop のインストールからデータの接続、ビジュアルを作成する部分までのデモをする勉強会を実施しました。
スライド資料の用意は最小限に、実際の画面を共有しながら実際の設定作業を見せる時間にしました。
ハンズオン形式ではないですが、希望者は画面を見ながら自分でも並行して触れるような内容で進めました。
実施した意図
利用者向けのマニュアルだけで Power BI レポートを作成できるようにドキュメントは整備しましたが、マニュアルを用意しただけだと、なかなか Power BI レポートの作成者は増えない状況でした。
Power BI レポートを作成する最初の一歩になる勉強会を実施することにより、Power BI Desktop を触ってもらうという、一番最初のハードルを下げることを意図しました。
既存 Power BI レポートの紹介
概要
これまでに作成した Power BI レポートを社内告知形式で定期的に共有しています。

レポート紹介の社内告知
既存のレポートの概要に加えて、特に紹介したレポートが利用している Power BI の機能や工夫をピックアップして紹介しています。
実施した意図
これから Power BI でレポートを作成しようと考えているメンバーに向けて、定期的に Power BI のナレッジ(機能や工夫)を共有することで、自チームでの活用のヒントにしてもらうことを狙っています。

レポートの特徴を紹介
Power BI レポート作成の自習コンテンツ提供
概要
Power BI レポートを作成したいメンバーに向けて、Power BI 関連の課題を管理する kintone アプリを用意しました。

Power BI トレーニングアプリの説明
各レコードに課題のテーマがあり、学習→課題→解答 のサイクルで自習できるコンテンツになっています。

課題レコードのイメージ
実施した意図
Power BI レポートを作成する自習課題を用意することで、自走して Power BI レポートの作成スキルを伸ばしてもらおう、という意図で進めています。
外部サービスを利用する手段もありましたが、自前で課題を作成することで、より実務に沿った内容の課題を用意できるので、メンバーが自チームでの活用を検討する際の橋渡しになりやすいのではないか、と想像しています。
まとめ・今後の展望
以上が、Power BI 導入フェーズ(社内展開〜半年)にて弊社で実施してきた社内施策です。
各施策は全てオンラインで実施しており、勉強会などは録画して社内公開する形で残しています。
データチームでは、2025年下期(〜12月)までの目標として、「Power BI レポート作成者数を50名にする」を掲げて活動中です。
目標達成に向けて、今後も引き続き Power BI レポート作成者向けのハンズオン勉強会や、自習コンテンツの充実といった社内教育に力を入れて活動していきます。
本内容が、今後の施策検討のヒントとして役立てると嬉しいです。
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